はじめに


非正規雇用が拡大を続けています。
大卒男子の初職非正規割合、つまり新卒で正社員になれなかった人の割合が


平成元年は4.7%程度であったのに
平成29年には 37.2%まで広まってしまいました。


平成元年には大学を卒業して正社員なれないなんてことはほぼありませんでしたが
今ではせっかく大学を卒業しても
4割近い人が正社員になれていないのです。


増えすぎでしょ。



理由はもちろん派遣法改正とそれに伴う賃下げ圧力
人件費を安く抑えて利益を上げようという経営者の身勝手な発想です。


明らかに働かせ方が変わった
正社員ではなく非正規労働者に働かせようという流れが生まれたのです。


しかし増え続ける不安定雇用について
政府や経済界はこのように言いました。

若者の働く意欲の低下(爆笑)

いまの若者は正社員にならずにバイトや派遣になる
これは若者の「働く意欲が低下」したからである。


こう結論付けました。
ニュースとかで聞いたことある言葉ですよね。


いまの若者は働く意欲が無いんだ!
だから正社員にならずに責任のないフリーターや非正規を選ぶんだ!
※実際は店長とかやらされる


こういうスーパーロジックを展開したのです。


90年代から始まった就職氷河期で
新卒採用を絞りまくったくせに
2000年前後にはこれまで規制されていた派遣労働の原則自由化をしたくせに
リーマンショック時には内定取消しをしまくったくせに


自分たちの政策で非正規労働者を増やし続けたにもかかわらず
若者が正社員にならないのは「働く意欲」が足りないからなんだ!
だから正社員にならずに派遣やバイトを選ぶんだ!
お前らもっと頑張って正社員になれ!


こう主張し続けました。



人間力の低下(爆笑)


働く意欲が低下したのはなぜか
それは若者の「人間力」が低下したからだ!
ファミコンや携帯ばかりいじってた事で若者の人間力が低下し
結果として働く意欲も無くなったのだ!


まるで居酒屋で酔ったオッサンの持論のような説ですが
内閣府や厚労省が大真面目に政策文書でこのようなことを言っているのです。


若者人間力強化プロジェクト
若者の人間力を高めるための国民会議


↑これなんだと思います?
どこぞの怪しい自己啓発セミナーじゃありませんよ。

 
厚労省や内閣府が増え続ける非正規労働者への対応として
若者の「働く意欲」を高めるために「人間力」を鍛えるんだ!とした
国家としての対応なんですよ。


若者が非正規労働者になるのは働く意欲が低下したからだ!
その背景には人間力の低下があるのだ
原因は携帯やファミコンである!


こんな事を国が大真面目に議論していました。
しかも予算まで計上してですよ。たしか1000億だか。

責任を押し付けられた若者


政府または経団連は自らの都合で作り出した非正規労働者を
「フリーター問題」などと言いました。
問題を作った本人がですよ?


そして「フリーター問題」とやらの原因は若者の「働く意欲」「人間力」の低下だと主張し
原因は若者側にあるのだと言い続けました。


もともと5%程度だった非正規が
たった10年ちょっとでいきなり30%を超えるまでになりますか?
人間力の低下なんていうもので。


これは明らかに政策の問題です。
意図的に増やされた非正規労働者。



その原因を若者に押し付けるどころか
若者批判というある種の言論ジャンルを生み出すほどに
若者を批判し続けました。


若者は我慢が足りない
若者は3年で辞める
若者は怒られ慣れてない
若者は恵まれた環境で育った


だからこんなに甘えた考えを持っていて
働く意欲も人間力も足りないんだ!



そうです、若者批判とは
年寄りによる責任転嫁なのです。



90年代はファミコンが悪い
2000年代は携帯が悪い
2010年代前半はパソコンが悪い
2010年代後半はスマホが悪い


若者は便利なものばかり使っているから人間力が低下したんだ!
ワシらが若い頃はそんなものはなかったんだぞ!


その時々の「若者文化」をやり玉に挙げて
こんなものばかり使っているから人間力が低下するんだ!
だからフリーター・ニートなんだ!



こういう論法を展開したのです。

まとめ


増え続ける非正規労働者
低賃金で不安定であることは言うまでもないですが
最近では「雇い止め」が社会問題となっています。


「無期転換5年ルール」
有期雇用の労働者が通算で5年間働けば
無期雇用にするよう申し入れることが出来るという制度です。


ところが企業はこの「無期雇用化」を避けるために
4年11ヶ月で契約を打ち切るという問題が発生しています。


あくまで非正規労働者は安く使えていつでも首を切れる使い捨てなんだ
だから無期雇用化するなんてとんでもない! 


はっきりとこう言ってるのと同じですよね。


また2008年に起きたリーマンショックでは
たった半年間で100万人の非正規労働者が職を失いました。


それが「年越し派遣村」として大問題となり
政権交代まで引き起こしたことは記憶に新しいです。







企業にとって恐ろしく都合のいい存在
それが非正規労働者です。



安く使えていつでも首を切れる使い捨て労働を生み出しておきながら
その責任を若者に押し付け、若者批判を続けたこの20年。



都合のいいことばかり言う政界財界
それを鵜呑みにして若者をバッシングするバブル世代。



冒頭でも申し上げましたが
これは全て政策が原因なのです。




近年、徐々に若者の逆襲が始まりつつあります。
最低賃金引き上げ運動や労働組合によるストライキ
一昔前までは鼻で笑われておしまいでした。



しかし近年、これらの行為がSNSを中心に
極めて好意的に受け止められている状況です。



就職氷河期以降の世代の人々はこう思っているのでしょう。



「もう限界だ」


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