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近年、外国人労働者の問題が
ニュースで取り上げられる機会が急増しています。


日本に働きに来た外国人が
その劣悪な労働環境に耐えられず
失踪するなどの報道です。


以下が法務省が集計した技能実習生の失踪者数です。 
外国人技能実習生 失踪者数
出典:法務省「技能実習制度の現状 (平成30年)」


平成24年には2000人だった失踪者が(それでも多すぎる)
たった5年で3倍以上の7000人を超えるまでに増加しています。


日本に行けば稼げる「ジャパン・ドリーム」に騙されて来日した結果
聞いてた話と全く違う低賃金・単純・長時間労働を強いられ実習先から逃げ出してしまうのです。


外国人技能実習制度とはどの様なものなのでしょうか。



外国人技能実習制度とは

厚生労働省は外国人技能実習制度の趣旨を以下の様に説明しています。
ごちゃごちゃしてるので読み飛ばしても大丈夫です。


技能実習制度は、我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、その開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを 目的とする制度であり、これまでは「出入国管理及び難民認定法」(昭和 26 年政令第 319 号。以下「入管法」という。)とその省令を根拠法令として実施されてきました。
今般、技能実習制度の見直しに伴い、新たに技能実習法とその関連法令が制定さ れ、これまで入管法令で規定されていた多くの部分が、この技能実習法令で規定され ることになりました。
ただし、制度の趣旨はこれまでと変わりがなく、その趣旨をより徹底するために、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法 第3条第2項)と明記されています。
 

出典:技能実習制度 運用要領


要約すると日本の技術を外国人に学んでもらって
母国の経済発展の役に立ててもらおう、というものです。 


なるほど外国人が技術を身につけるために
日本に来て研修を受けるのか、まあ良いんじゃないか。


私も技能実習制度の実態を知るまではそう軽く考えてました。
ところが実習の現場で起きていたのはまさに外国人の奴隷化でした。


技能実習制度の仕組み

この外国人技能実習制度は以下の4つの人物・団体が絡んでいます。

1、外国人技能実習生(現地)
2、送り出し機関(現地)
3、管理団体(日本)
4、受け入れ企業(日本)

図にすると以下の様になります。
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出典:外国人技能実習制度における人権問題


日本で技能実習を受けることを希望する外国人が
自国の送り出し機関に応募し
日本の管理団体を通じて受け入れ企業で実習を受けるという流れ何なります。
※管理団体は事業協同組合や商工会・財団法人などがあり許可制となっている。


送り出し機関や管理団体を通さずに
直接技能実習生を受け入れる企業もありますが
技能実習全体の4%程度しかないので
ほぼ全て上記の様になっていると考えても大丈夫です。


一見すると色々な団体が仲介してくれる
親切な仕組みになっている様にも見えますが


実態はとんでもない搾取構造ががある
人身売買そのものなのです。


借金を背負って日本へ

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技能実習生は送り出し機関への手数料の支払いが求められます。
その額は「日本円」で100万円以上。
途上国現地の人からしたらとんでもない金額です。


 

その手数料の中には、送り出し機関が自分たちから実習生を採用してもらうために
日本の管理団体を「接待」する費用も借金に上乗せされるのです。
接待費用が実習生負担っておかしいだろ・・・



さらに追い打ちをかけるのが保証金です。
失踪防止用というのが名目らしいのですが。
送り出し機関や管理団体に一定の保証金を預ける場合もあり
これも借金に上乗せされます。(本当は違法)
 



つまり技能実習生が背負う借金は
手数料+接待費+保証金の合計となります。
えげつないですね。 



これを聞いて普通の人ならこう思うはずです。
「なんでそこまでして日本に来たがるの?」と


答えは求人詐欺です。
「月に2、30万は稼げます!」
「寮費も無料で3食付きです!」


現地のブローカーから
実態とは全く違う嘘の待遇の説明を受けて日本に来ることを決意するのです。
騙して日本に送り込む、これが現地の悪質ブローカーの狙いです。


その言葉を信じた技能実習生は
親戚中から金をかき集めたり、借金をして日本にやってきます。
技能実習は最長5年、「たった100万」の金なんてすぐ返せるじゃん。
そう思って実習に応募するのです。それが地獄の幕開けとも知らずに。


違法労働大国日本

日本に行けば大金が稼げる。
そんな「ジャパン・ドリーム」を光の速さで打ち砕く日本の労働環境。
最低賃金であればまだマシ、最賃割れ、残業代不払い、暴力やパワハラ。


法務省の調査によると
2017年に実習先から逃げ出した7000人の実習生のうち
半数以上が「月給10万円以下」だったと回答しました。


また、厚生労働省が行った調査によると
70%を超える受け入れ企業で労働基準関係法違反が認められました。



その内訳がこちらです。

外国人技能実習生 受け入れ企業 法令違反
出典:外国人技能実習生の実習実施者に対する 監督指導、送検等の状況(平成29年)



注目すべきは労働基準法違反だけではなく
労働者の安全管理を定めた労働安全衛生法違反も数多く指摘された事です。



これは技能実習生が安全に業務を行える環境が整えられておらず
例えば機械に手を挟んで指を切断するなどの事件も起きています。
想像するだけでこちらの指も痛くなってきますね。



こちらが法務省の集計による不正行為の内訳です。
技能実習生 不正行為
※出典:法務省「技能実習制度の現状(平成30年)」
 


字が小さくて見づらいですが
全体の半数が受け入れ企業による賃金不払いです。
技能実習生には「月20万は楽勝ですよ」とか行っておきながら
実際はまともに賃金すら払われないのです。


逆らう者は強制帰国

外国人技能実習生の問題を語る上で欠かせないのが
強制帰国問題です。


強制帰国とは文字通り
違法を訴えた、改善を要求した技能実習生を
解雇して強制的に帰国させるという身も蓋もない切り捨てです。



もちろん法律で禁止されてます、労働基準法でも労働契約法でも。
解雇の濫用はやってはならないとされています。


ところが外国人技能時実習生の場合は状況が違います。
在留資格を失ってしまうのです。


入管法22条「在留資格の取り消し」では以下のような定めています。

在留資格の取消しとは,本邦に在留する外国人が
偽りその他不正の手段により上陸許可の証印等を受けた場合や
在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで在留していた場合などに
当該外国人の在留資格を取り消す制度です。



在留資格に基づく本来の活動とは技能実習のことです。

解雇された事により「本来の活動」を行っていないと判断された場合

30日間の猶予を与えられたのちに強制帰国になります。



実習先を追い出されるので当然寮から出なければなりません。
住む場所すら失ってしまうのです。
もう国に帰るかしかなくないですか? 



稼ぐために日本に来たのに
肝心の給料が払われなくても
訴えた時点で強制帰国というどうしようもない仕組み。


 

そして母国で借金だけが残るのです。
奴隷の方がマシですよこれじゃ。

まとめ

ここまで長々と書かせてもらいましたが
外国人技能実習生の問題は、実はほとんど明らかにされていないのです。


訴えようにも訴えられない、なぜなら訴えた時点で強制帰国だからです。
この問題に詳しい弁護士に話を聞いても次々と新しい手口が発見されて
もはや調査が追いつきません。


「こういう仕組みになってます」と説明したところで
全部それを破って違法な労働をさせているのだからどうしようもありません。
極端な話ですが、100万稼げますと言われたのに10万しか稼げなかったという事件も
無いと断定することはできません。それほど違法が野放しにされているのです。


最後にですが、皆さん覚えていらっしゃいますか?
外国人技能実習制度の本来の目的は「日本で技術を学んでもらうこと」です。


本来の目的から完全に逸脱して「外国人を安く働かせよう」という奴隷制度化していることは
もはや疑いの余地もありません。

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