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違法な労働をさせる企業が後を絶ちません
長時間労働、残業代不払い、不当解雇
これらに対する有効な対策として真っ先に思い浮かぶのは
労働基準監督署でしょう。


確かに残業代が払われてない事を通報すれば
会社に対して指導が入り、改善報告を出させる事ができます。
もし指導し従わずに違法を繰り返した場合は経営者は書類送検され裁判が始まります。
 

意外と知られていませんが
労働基準法は違反者には刑事罰が課せられているのです。


ところがそんな強い権限を持った労基署に通報しても
直ちに会社が改善されるわけではないのです。
その理由をご説明します。
 


是正勧告は年間10万件

労働基準監督署から企業に対する指導
つまり是正勧告の数は年間で10万件に登ります。
通報によるものや定期監督によるものの合計が上記の数字になります。


それを図にして見ました。


平成27年 法違反状況
定期監督等実施事業所数  133,116
違反事業場数  92,034
違反事業場比率  69.10%
労働基準法違反15条労働条件の明示15,545
23、24条賃金不払い5,425
32,40条労働時間27,581
35条休日2,252
37条割増賃金19,400
89条就業規則10,673
108条賃金台帳9,527
最低賃金法違反4条最賃効力3,211
平成27年 申告処理状況
監督実施事業場数 22,321
違反事業場数 15,782
違反事業場比率 70.70%
労働基準法違反賃金不払い22,362
解雇4,017
労働時間等547
最低賃金法違反 2,174



定期監督による是正勧告が9万件
違反申告による是正勧告が1.5万件
合計10万件超


これを多いと見るか少ないと見るか
私は「こんなに多かったのか」と思いました。


もし労基からの是正勧告で会社が改善するのであれば
毎年10万件づつホワイト企業が生まれ続けていることになります。


そんな実感ないですよね
でも是正勧告が出されているのは事実です
なぜこうもブラック企業が減らないのでしょうか。


社員に伝える義務はない

結論はこれなんですよ。
どんなに悪質な違法行為が行政機関から指摘されたとしても
それを社員に伝える義務なんてないのです。


例えば残業代未払い(労基法37条違反)も
「行政機関から残業代未払いの指摘を受けました」などと
全社員に向けて発信する義務などないのです。


皆さんがお勤めの会社に行政機関から指導が入った場合
なんか全社的に周知されるようなイメージってありませんか?


会社のお偉いさんが営業所に来て
「うちの会社が残業代未払いで労基から是正勧告を受けました」


こういう流れになると思いませんか?
実は違うのです。


いくら労基から是正勧告が出ても
それを社員に伝える義務はありません。


訴えた人間にだけ金を払って終わりにするんです。
いくらブラック企業といえども、労基からの指導を無視しては
経営者が書類送検されてしまいます。
だから払うんです、訴えた人にだけ。


じゃあ他の社員はどうなるのか?
何も起こりません、是正勧告が出た事実すら知らせないまま
サービス残業をさせ続けます。


いまこの記事を読んでいるブラック企業にお勤めの皆さん
あなたの会社はすでに労基が是正勧告を出しているかもしれませんよ。
何度も何度も行政指導を受けたかもしれませんよ。


でもそれを社員に知らせる義務はないのです。
社員が知る方法すらないのです。


行政機関(労働局とか)に問い合わせれば
違反があったかくらいは教えてくれるだろうと思ったそこのアナタ
気持ちはわかります、私も昔はそう思ってました。



ですが是正勧告の情報を開示するには
申告者本人が「保有個人情報開示請求」をしなければなりません。
その会社の社員であったとしても、情報公開は違反申告者本人でなければ
開示を求めることすらできないのです。


これってあんまりだと思いませんか?
多くの社員を抱える会社の違法が認められても
それを社員に伝える義務がないどころか
情報が非公開になってるんですよ。


これじゃ無くならないはずですよねブラック企業が
どんなに違法を告発されても、誰にも知られずに済むのだから。


労働組合による監視の必要性

Unknown
ここまで労基に違反申告をしても
結局は違反申告者本人に金を払って終わりと説明しました。
会社からしたら少額の「損切り」ですよね。


そして違反申告をした人を辞めさせるために
あらゆる嫌がらせをしてきます。


当然違法ですよ、労基に違反申告をしたことによる報復人事は
労基法104条で禁じられています。
でも実際はそれが守られていないのです。

☆関連記事→放置される報復人事
☆関連記事→解雇規制の実態


だから労働組合による監視が必要なんです。
企業内労働組合なんてダメですよ。
社外労働組合(ユニオン)による監視です。

☆関連記事→御用組合の実態


労基から違法が認められたら情報発信することもできますし。
たとえ会社が違法に解雇しようとしてきても労働組合が違反申告者を守れます。


裁判だって組合を通じて行えば簡単です。
企業を常に監視し続けて、違法を繰り返させないようにするのです。

まとめ

今回はいくら労基署に違反申告をしても
会社が改善しない理由を説明しました。
基本的に裁判でも同じです。


個人で違法を正そうとしても
それは個人闘争の範囲に留まってしまい。
会社そのものの改善には繋がらないのです。



だから労働者が団結して
常に会社を監視する必要があるのです。


労働組合が会社全体の改善を要求すれば
訴えた個人だけに金を払って終わりにすることはできません。


わたしの会社も労基に違反申告をしたのはわたし一人ですが
組合を通じで全社員に未払い残業代を払わせましたし
サービス残業も撲滅しました。


労働組合の監視がない会社では
そんなに違法なことをしてもリスクは少額の損切りだけです。
これじゃ事実上やりたい放題ですよね。


違法な会社をなくしていくために労働者は団結する必要があります。
自分の身は自分で守らないと他の誰も守ってくれないのです。
 

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