日本の最低賃金は他の先進国と比べて低い水準にあります。
まずは下の図をご覧ください。

わかりやすい図が少し前のものしかなかったのですが
2019年現在でも日本の最低賃金の全国平均は874円となっており
少し前のオーストラリアの半分程度となっています。
次に各国の賃金の中央値(ど真ん中の値)と比べた最低賃金の水準が以下のグラフになります。

これも少し古い時期のデータですが
要するにその国の一般的な所得水準と最低賃金を比較した場合
日本は世界最低水準の低賃金労働をさせることができるようになっていると言うことです。
つまり日本の最低賃金は絶対額も相対額も低くなっていると言うことになります。
それはなぜでしょう。
全国平均で357円です。
多分ほとんどの人が「は?そんなに低かったの?」と思うのではないでしょうか。
時給357円でフルタイム労働(月間173時間)した場合の月給は
約6万円です。話になりませんよね。
平成元年の最低賃金は492円
フルタイム労働で8万5千円です。バブルのど真ん中でもこれですよ。
そして令和元年、最低賃金874円
フルタイム労働をすれば約15万円、低い水準ではありますが
昔のように家賃も払えないような破壊的に低い金額ではありませんよね。
ところが令和元年現在、全ての政党が最低賃金を上げるような公約を発表しています。
また最低賃金を引き上げる市民運動も盛んに行われており
Twitterでも #最低賃金を1500円に と言うタグが盛り上がりを見せています。
昔よりもずっと高い水準になった最低賃金
でも逆に最低賃金の低さが社会問題になっているのは今なんです。
それはなぜでしょうか。
家計補助型労働者の賃金としての性質が非常に強くあります。
家計補助型とは文字通り「家計を補助する」ということです。
つまり家計のメイン収入を補助するプラスアルファ的な労働に対して
支払われる賃金の基準が最低賃金なのです。
昭和の時代、日本の一般的な家庭は
夫が年功賃金の正社員として家計を支え、妻が家事育児をするというものでした。
そしてその家事育児の合間に家計を補助する目的のパートタイムジョブを行う。
最低賃金とはそれを想定した賃金なのです。
家計自立型賃金の正社員(年功賃金)と
家計補助型賃金のパート(安い時給)で成り立っていたのが日本でした。
ところがですよ。
この構造がぶっ壊れてしまう大事件が起きてしまいました。
どのくらい非正規労働者が増えたかというと
大卒男子の初職(卒業して初めての仕事)が非正規だった割合の推移が以下です。
平成元年4.7%→平成29年37.2%
平成元年には大学を卒業していれば
普通は正社員になれました。
正社員になれないなんて事はほぼありえなかったんですね。
ところが平成29年、大卒男子の4割近くが大学を卒業しても正社員になれないんですよ。
これとんでもない増加幅じゃないですか。
30年前は大卒=正社員だったのに
今は半数近くが非正規労働者とか終わってる・・・
じゃあこれの何が問題かというと
自立しなくてはならないのに家計補助型賃金の労働しかないんですよ。
これは非常に大切なのでもう一度言います、自立しなければならないのに
主婦のパートを想定した賃金しか得られないんですよ。
もともと最低賃金とは家計補助型労働の賃金であり
正社員の夫を支える妻のパートの賃金なんです。
すでに立派な収入がある家計を補助的に補うための賃金なのです。
それで自立しろっていうんですよ?いかに無理難題だかがわかりますよね。
そうです、昔の最低賃金が300円とかだったのに今ほど社会問題になっていないのは
そもそもメインの収入が他にあって、パート・非正規なんてそれの補助だったからなのです。
もちろん昔の非正規労働者の時給は、最低賃金以上はもらっていました
今よりは全然低くて時給700円とかですがそれでも問題にならなかったのです
なぜなら家計補助の労働だったからです。
今では最低賃金で働く正社員も決して珍しくはありません。
計算するとわかりますが、例え上場企業だったとしても
飲食店の求人を見ると「最低賃金+10円」とかそんなのばっかりです。
☆関連記事→最低賃金で働く正社員
つまり正社員であっても非正規労働者であっても
どちらも家計補助型労働を前提とした賃金しか受け取っていないのです。
これでどうやって自立をしろというのでしょうか。
そして低すぎる最低賃金の給料を誤魔化すために悪用されているのが
ご存知、固定残業代制度です。
☆関連記事→固定残業代の問題点
このように増え続ける非正規労働者と正社員ですら最低賃金な現状があって
いまようやく最低賃金の低さが注目されているのです。
いや、そもそも「家計補助」ってなんだよって話になりますよね。
実は日本という国は全て「年功賃金」が前提となった社会構造になっているのです。
正社員として就職して長く勤めれば給料が上がっていくから
そのお金で子供の学費払えるでしょ?住宅ローン組めるでしょ?企業年金もあるでしょ?
これが前提となっているのです。
だから子育て政策も住宅政策も弱い、基礎年金に関しては6万円程度しかない
それでも問題なかったんです、昔は。
メインの夫の収入があったからこそ、妻のパートは「補助」だったのです。
ところが今は違います
年功賃金が崩壊したどころか大卒男子の4割が非正規
昔のような「大黒柱」になれないんですよ。
最低賃金が低い理由は家計補助型労働の賃金であるから
その問題点は年功賃金を前提として社内制度が設計されているから。
フルタイム労働で月給15万とか半分以上家賃に消えていきますよね?
でも法的には最低賃金以上の給料を払う義務はないんです。
最低賃金は2000円に上げるべきでしょう。
スポンサーリンク
まずは下の図をご覧ください。

わかりやすい図が少し前のものしかなかったのですが
2019年現在でも日本の最低賃金の全国平均は874円となっており
少し前のオーストラリアの半分程度となっています。
次に各国の賃金の中央値(ど真ん中の値)と比べた最低賃金の水準が以下のグラフになります。

これも少し古い時期のデータですが
要するにその国の一般的な所得水準と最低賃金を比較した場合
日本は世界最低水準の低賃金労働をさせることができるようになっていると言うことです。
つまり日本の最低賃金は絶対額も相対額も低くなっていると言うことになります。
それはなぜでしょう。
昭和の時代の最低賃金
1980年(昭和55年)の日本の最低賃金は全国平均で357円です。
多分ほとんどの人が「は?そんなに低かったの?」と思うのではないでしょうか。
時給357円でフルタイム労働(月間173時間)した場合の月給は
約6万円です。話になりませんよね。
平成元年の最低賃金は492円
フルタイム労働で8万5千円です。バブルのど真ん中でもこれですよ。
そして令和元年、最低賃金874円
フルタイム労働をすれば約15万円、低い水準ではありますが
昔のように家賃も払えないような破壊的に低い金額ではありませんよね。
ところが令和元年現在、全ての政党が最低賃金を上げるような公約を発表しています。
また最低賃金を引き上げる市民運動も盛んに行われており
Twitterでも #最低賃金を1500円に と言うタグが盛り上がりを見せています。
昔よりもずっと高い水準になった最低賃金
でも逆に最低賃金の低さが社会問題になっているのは今なんです。
それはなぜでしょうか。
家計補助型の賃金
実はこの最低賃金というのは日本では家計補助型労働者の賃金としての性質が非常に強くあります。
家計補助型とは文字通り「家計を補助する」ということです。
つまり家計のメイン収入を補助するプラスアルファ的な労働に対して
支払われる賃金の基準が最低賃金なのです。
昭和の時代、日本の一般的な家庭は
夫が年功賃金の正社員として家計を支え、妻が家事育児をするというものでした。
そしてその家事育児の合間に家計を補助する目的のパートタイムジョブを行う。
最低賃金とはそれを想定した賃金なのです。
家計自立型賃金の正社員(年功賃金)と
家計補助型賃金のパート(安い時給)で成り立っていたのが日本でした。
ところがですよ。
この構造がぶっ壊れてしまう大事件が起きてしまいました。
家計自立型の非正規労働者の出現
労働者派遣法などにより日本の労働者は急速に非正規化が進みました。どのくらい非正規労働者が増えたかというと
大卒男子の初職(卒業して初めての仕事)が非正規だった割合の推移が以下です。
平成元年4.7%→平成29年37.2%
平成元年には大学を卒業していれば
普通は正社員になれました。
正社員になれないなんて事はほぼありえなかったんですね。
ところが平成29年、大卒男子の4割近くが大学を卒業しても正社員になれないんですよ。
これとんでもない増加幅じゃないですか。
30年前は大卒=正社員だったのに
今は半数近くが非正規労働者とか終わってる・・・
じゃあこれの何が問題かというと
自立しなくてはならないのに家計補助型賃金の労働しかないんですよ。
これは非常に大切なのでもう一度言います、自立しなければならないのに
主婦のパートを想定した賃金しか得られないんですよ。
もともと最低賃金とは家計補助型労働の賃金であり
正社員の夫を支える妻のパートの賃金なんです。
すでに立派な収入がある家計を補助的に補うための賃金なのです。
それで自立しろっていうんですよ?いかに無理難題だかがわかりますよね。
そうです、昔の最低賃金が300円とかだったのに今ほど社会問題になっていないのは
そもそもメインの収入が他にあって、パート・非正規なんてそれの補助だったからなのです。
もちろん昔の非正規労働者の時給は、最低賃金以上はもらっていました
今よりは全然低くて時給700円とかですがそれでも問題にならなかったのです
なぜなら家計補助の労働だったからです。
正社員すらも最低賃金に
非正規労働者の拡大と昭和型の年功賃金の崩壊により今では最低賃金で働く正社員も決して珍しくはありません。
計算するとわかりますが、例え上場企業だったとしても
飲食店の求人を見ると「最低賃金+10円」とかそんなのばっかりです。
☆関連記事→最低賃金で働く正社員
つまり正社員であっても非正規労働者であっても
どちらも家計補助型労働を前提とした賃金しか受け取っていないのです。
これでどうやって自立をしろというのでしょうか。
そして低すぎる最低賃金の給料を誤魔化すために悪用されているのが
ご存知、固定残業代制度です。
☆関連記事→固定残業代の問題点
このように増え続ける非正規労働者と正社員ですら最低賃金な現状があって
いまようやく最低賃金の低さが注目されているのです。
まとめ
最後になりますが、なぜ最低賃金が家計補助型労働の賃金とされるようになったのかいや、そもそも「家計補助」ってなんだよって話になりますよね。
実は日本という国は全て「年功賃金」が前提となった社会構造になっているのです。
正社員として就職して長く勤めれば給料が上がっていくから
そのお金で子供の学費払えるでしょ?住宅ローン組めるでしょ?企業年金もあるでしょ?
これが前提となっているのです。
だから子育て政策も住宅政策も弱い、基礎年金に関しては6万円程度しかない
それでも問題なかったんです、昔は。
メインの夫の収入があったからこそ、妻のパートは「補助」だったのです。
ところが今は違います
年功賃金が崩壊したどころか大卒男子の4割が非正規
昔のような「大黒柱」になれないんですよ。
最低賃金が低い理由は家計補助型労働の賃金であるから
その問題点は年功賃金を前提として社内制度が設計されているから。
フルタイム労働で月給15万とか半分以上家賃に消えていきますよね?
でも法的には最低賃金以上の給料を払う義務はないんです。
最低賃金は2000円に上げるべきでしょう。